News / Nunn Road / 2000 / 2000年7月 シュタイナーの幼児教育とは
「シュタイナー(幼児)教育って一口で言うとなんですか」と言う質問をよく受けます。それに対して「自然の素材を使ったおもちゃで自由に創造的に遊ぶ中で 子供たちのファンタジーの力を育み、1日、一週間、一年の決められたリズムを繰り返し行い模倣を通して学ぶ中で、子供たちを安定させ、心と体を育てて行く という、いわゆるできるだけ目覚めさせない教育です」と答えています。知的に目覚めさせてしまうと、脳ばかりが刺激されて体が育ちにくくなります。7歳ま でのこの時期の子供たちは、一生の間で一番体・内臓器官が成長する時期です。それは身長も体重も生まれてからどんどん増えていくことでおわかりでしょう。 こういう一番体が成長する時に、できるだけその体に大切な栄養分を与える活動をさせる、それが「遊び」なのです。子供たちを見ていると、とにかく次から次 へといろいろなお話、遊びが生まれてきて、飽きることなく生き生きと遊んでいます。内なる力が育っていると感じます。ただ彼らがパワーレンジャーになって 戦いの動きをしている時はそう言う内なる力を感じません。ですから幼稚園にはパワーレンジャーやウルトラマンは来ないことになっています。
また、子供たちは精神界を通って生まれてきたばかりで、一番精神界に近い存在とも言えます。子供たちを見ていると我々大人がもう持つことのない純粋さ、神 聖さをよく感じます。自分自身の心を洗われることもよくあります。ただこの世の中での経験年数が少ないので、ぎこちないこと(お水、ご飯をこぼしたり、汚 したりなど)はたくさんします。それは毎日繰り返し経験する中で学んでいけるものです。そう言う子供たちは、お祈りの言葉も天使さんやノームさんのお話も 大好きです。幼稚園で、ろうそくをつけて毎朝お祈りの言葉を言ったり、天使さんの歌を歌ったりしているのですが、それは宗教的なものでは全くありません。 小さな子供たちが自然に持ち合わせているものを行う中で、自然界のものへ、また高次の世界のものへ畏敬と感謝の気持ちを持つことを学ぶためです。ルドル フ・シュタイナーは、幼い時に自分よりも高次の存在に両手を合わせて祈り、畏敬の感情を持つことを学んだ子供は、大きくなって魂の力を持つことになると 語っています。(幼稚園ではどんなに小さな虫が死んでもお墓を作ってお花を飾り,天国に行ってねと祈ります)
現在のような物質主義・競争主義の世の中で自分さえよければ良いと思う人がたくさんいます。本当に生きる力のある人間と言うのは、創造的に人生を切り開い ていける人間、周りのことを自分のことのように考えられる人間、強くてやさしい魂の力を持つ人間だと思います。そして、そう言う人間を育てるため、シュタ イナーの哲学、教育法は、大切な道を与えてくれると自分自身信じています。